西中眞二郎さんの歌から5首

(Tue)

Posted in 題詠blog2011鑑賞

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題詠blog2011を走り終えた皆さまの歌を鑑賞させていただきます。
今回は、西中眞二郎さんの歌から5首を選ばせていただきました。

001:初
また一人人の失せたる帰路にして二月初めの夜の風寒し


友人の葬式の帰り道だろうか。初句の「また」がポイントで、これが初めてのことではないことをさりげなく、しかし哀切に伝えてくる。吹きつけるこの風を寒く感じるのは、季節のせいだけではないことは想像に難くない。


025:ミステリー
地下鉄を二駅行く間に三人の女死したるこのミステリー


地下鉄はその構造上、多くは大都市に存在する。そして都市の鉄道は往々にして駅のあいだの距離が非常に短く、実際に徒歩や自転車で地上を行き来していると、たったこれだけの距離なのかと驚かされることがままある。
この歌では、「二駅行く間」とのことから、およそ一駅通過するごとに一人死んでいることになる。そのことが、どうやらミステリーの結末より気になって仕方がないらしい。


026:震
大地震に遭いし夢見て目覚めけり寝台列車の浅きまどろみ


今年2月に詠まれたものだが、震災を経たのちに読むとまた違った味わいを見せる歌だ。寝台列車の絶え間ない振動が、大地震という夢となって結果目覚めさせてしまったが、「あの大地震こそが夢であればよかったのに」というのは、この国に住む人なら誰もが思っていることではないだろうか。


040:伝
雪の予報伝えるニュース終りたれば窓開け夜の庭を見ており


子どものころほど無邪気に待つということはなくなってしまったが、それでもやはり雪片が空からひらひら舞い降りてくるのには心が躍る。この歌も、明日の積雪を静かに待っている様子がうかがえる。朝になれば、外には一面の雪化粧が施される。見慣れた庭、日常とのしばしの別れ。そんな意味も込めて、夜の庭を眺めているのかもしれない。


057:ライバル
ライバルとわれを思いていし友もありたるはずとふと思いおり


かつて自分は彼こそをライバルと思っていた。彼にはどうもそうは思われていなかったようだが…。いや、待てよ。それならば、この自分をライバルとして心中で競っていた友というものも、もしかしたらあったのではないか? 百首の中に散見する亡き友人たちのことを考えていた折に「ふと」思ったのではないかと、そんなことを考えた。

※西中眞二郎さんに題詠blog2011の題詠100首百人一首に選んでいただきました。
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